将棋に勝った人が見せる顔

写真を撮っていたら話しかけてきた彼。 おおっ、バルナック型ライカ(後で調べたらライカIII型)ではないか。 彼は80年近い年齢のこの一台だけで写真を撮っているのだそうだ。 見るからにメカの金属塊は渋い光を放っていた。

あれこれといろいろなカメラに目移りしてしまい(実際は常に新たな技術や性能を探求している向学心に基づく行為なのだが、一般的には尻軽性とか浮気性などと言われるんだよねえ)、その上フィルムからデジタルにほぼ乗り換えてしまっている自分としては少し引け目があって、彼の話を聞きながら多少こわばった微笑みを返すしかできなく、古き良きものを長年使いこなしている彼のような人間にはいささかコンプレックスすら感じるのである。

レンズはかの名レンズである沈胴型ライツ エルマー50mm f3.5であろうと写真を拡大して見たら何とロシア製と思われる偽エルマー(間違っているかも知れないが)ではないか。 さてここでかなりライカ通であろうと思っていた彼へのもう一つの畏敬の念に影がさしたのである。 知っていてレアな偽物を使っているのか、知らずに使い続けてきたのか。 しかしこの得意げな、満足げなしたり顔を見るとそんなことはどうでもいいことで、彼はこれ一台で幸せな写真人生を送っているんだなあとうらやましくもなる。
でも...この写真の表情を見ると将棋に僅差で負けたとき相手が浮かべる顔つきにも似て、二発目のパンチを食らったような気持ちになるのだ。
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[M8]




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by scottts | 2010-05-05 00:04 | SUMMILUX 35/1.4 | Comments(28)
Commented by yoshipass at 2010-05-05 00:31
あはは・・・少し耳が痛いかも(笑)
読まなかったことにします^^;
Commented by k7003 at 2010-05-05 05:38
前段、中段と、なるほどごもっとも、同感同感・・・ときて、最終の一行で、スコットさんと御一緒に、KO!(@_@;)くらいましたぁ。
Commented by sa55z at 2010-05-05 07:49
「新たな技術や性能を探求している向学心に基づく」
もう、爆です!!!!
Commented by scottts at 2010-05-05 09:07
Yoshiさん、こういうことですよね。
昔のものや新しいものや、それを組み合わせたり、とにかくセレクトできることが多すぎます。
Commented by scottts at 2010-05-05 09:10
NKさん、何が正解ということではないですし、これというゴールに早く着く人もいるのですが、
試行錯誤もまあ人生の楽しみのひとつですから。 カメラに限らず。
Commented by scottts at 2010-05-05 09:12
sa55zさん、でしょう、そうなんですよ、ようするに研究熱心なんです。
ですから人生の巷を右往左往。
Commented by tullyz2 at 2010-05-05 10:36
お金をかけずに写真を楽しんでいるのでしょうね。
細かいことを言わなければロシアレンズもすばらしい描写をすることがあります。
エルマーならなおさらでしょう。
彼のような悟りの境地に入れればいいのでしょうが、なかなかねぇ・・・^^;
Commented by Hologon158 at 2010-05-05 10:38
きっと彼の目指していたイメージを自然に再現してくれるレンズがロシア製だったのでしょうね。
ネームバリューではなく、ただのカメラファンではなく、
ホントに自分の写真を撮りたいという姿勢だけが感じられ、
畏敬の念を抱きます。
カメラを首からぶら下げないで、ストラップを手に巻いているあたり、
私の大好きな撮影態勢です。
この人、きっと素敵な写真を撮っておられるでしょうね。
でも、この人は私と同じタイプですが、ご自身でおっしゃっているように、
これが写真の撮り方の究極じゃありません。
自分にふさわしい撮り方は、自分で見つける、これしかありませんね。
Commented by scottts at 2010-05-05 11:24
tullyz2さん、ゴルフクラブがよければすごいショットが打てるということではないですね。
本人が気にいってればいいことで、結果は本人次第ですね。
Commented by yuki at 2010-05-05 11:30 x
scottts さん、おはようございます。
 きょうのコメント、3回 じっくり読ませていただきました。
 いろいろ考えさせられます。 
 わたしはフイルムとはキッパリ縁を切りましたが・・・(苦笑)。

 彼のコートの下に着ているシャツが気になります(笑)。
Commented by scottts at 2010-05-05 11:45
Hologon158さん、きっとそういうことですね。 ロシア製レンズそのものにネガティブな思いはありません。 
Hologonさんもこれだと思うものにいき着いておられるようで、これはうらやましい限りです。 
Commented by scottts at 2010-05-05 11:46
yukiさん、おはようございます。 そのきっぱりと縁を切れるのがすばらしいです。
それができなくて、まだあれこれうろうろと、疲れますよ。 う~ん、どんなイラストでしょう、興味ありますね^^。
Commented by ramble-leica at 2010-05-05 18:39
すごいですね・・・
今だ物欲とマヨイが交差しながら、フォト生活を・・・
Commented by Jun at 2010-05-05 18:52 x
写真の世界は分かりませんが、ゴルフキチガイの夫は
「もっと飛ぶクラブ!もっと正確なクラブ!」とわめきながら、
ドライバーをいろいろトライし続けています。女性を次々に
代えるよりは罪が軽いので優しく見守っていますよ!
でも1本を大事に使いこなせば、もっと上手になりそうです。
Commented by top-to-toe at 2010-05-05 20:41
ちょっとマイケル・ムーア監督に似てる...(笑)
Commented by minton at 2010-05-06 00:33 x
道具に凝って、写真を忘れがちなので、初心に帰らなきゃっておもいます。
いい道具じゃないんですよね。

Commented by scottts at 2010-05-06 04:40
ramble-leicaさん、こういう人がうらやましいです。
私はフォトだけではなくいろいろと思いを交差させながら生活をしています。 性格でしょうか^^。
Commented by scottts at 2010-05-06 04:45
Junさん、よくぞ申された、これぞ妻の鏡!
きっとご主人は分かってます、道具ではないということを。 しかしですねえ、
一部の望みをかけて道具に頼りたくなるんですよねえ。 今日の写真の人のように
これが自分にベストというものに巡り会って使いこなせれば幸せなんですが。
Commented by scottts at 2010-05-06 04:47
Saoriさん、そういえば似てる似てる、特にこの自信をもったほほえみ。
このほほえみは踏み込めないバリアですね。
Commented by scottts at 2010-05-06 04:52
mintonさん、それもまた楽しいことの一つですから、どうぞ彷徨ってください^^。
写真の楽しみは本質を追うことだけではないですから、なんて理由をお作りください。
Commented by kennyj1016 at 2010-05-06 07:44
おはようございます
うん~ 私もまだ煩悩はありますよ、腕のない分道具でカバーなんて思いますが・・・
縁あって自分の所に来た道具は使いこなしてやらないと 可哀想な気がしますね。
Commented by nontan91 at 2010-05-06 08:29
私も耳が痛いです(笑)
しかしいい顔してますね。
私もこんな顔になって撮影していたいものです^^
Commented by scottts at 2010-05-06 12:41
kennyj1016さん、こんばんは。 いや同じですよ。 そんなあれこれも楽しいひとつですよね。
でも道具は使い込まないと自分に合ってこないといいますから、それも必要ですね。
Commented by scottts at 2010-05-06 12:43
のんたんさん、ほとんどの人が同じだと思いますよ、でないとカメラ業界は不況になります^^。
でもこの人のように自分にベストだと思える物に出会えるのはラッキーですね。 その時はこんな顔になるでしょうね。
Commented by molsheim at 2010-05-06 14:03
汗が・・・・
たぶん同じに近いセットⅢf+フェイクレンズ・・・
フィルム入れたまま半年放置していることを思い出しましたぁ~
Commented by scottts at 2010-05-06 15:33
molsheimさんも同じような組み合わせのを使っているんですね。
フェイクレンズでもオリジナルを凌ぐ性能のものもあるとか。 とにかく気にいって使っていれば
それでいいですね。 でもせめて中のフィルムを使い切ってください^^。
Commented by oribeyaki at 2010-05-06 22:00
もしかして、この方は、
このカメラ、レンズの前に相当な種類のレンズ、カメラを試されいるかもしれませんね。
その結果、このカメラレンズに落ち着いたと。
極めるには、それなりの経験が必要かと・・・
違うかな^^
まぁ何れにしても素敵な笑みですね(笑

Commented by scottts at 2010-05-07 00:05
oribeyakiさん、きっとそういうことでしょうねえ。
プロセスはともあれ自分の気にいったものに行き着けたという落ちはうらやましいことです。
彼のこのいい笑みは、昔将棋に負けた時のような、自分が達し得ない情けなさの思い出を
一瞬感じさせてくれました。
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