Sunset

日本語の「落日」「日没」より「サンセット」の方が自分がこの時に受けたイメージにより近い言葉の思いがする。 落とか沈や没は何となく「終わり」の感触があって次が巡ってこないような悲しげな印象になるのだ。 しかしこの「サンセット」は日の終わりというより美しくもロマンチックなひとときの流れを感じさせる響きを持つ。 日が街をシルエットにして間もなく空の鮮やかな赤が徐々に暗くなっていく時、波に映る色もゆっくりとピンクに変わり、少しずつ濃い青が覆い被さるように、そして黒くなっていく色とグラデーションの移行が音楽のそれぞれの楽章のごとく曲想を変化していく。 いつの間にか色も音も静かに深みへ去っていくそのプロセスは、あたかも壮大な幻想曲の収束を見るようだ。 それはフィナーレの物悲しさを残すのではなく、心に感動的な余韻を刻みつけ、明日の歓びを期待させてくれるのだ。
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by scottts | 2011-08-04 00:06 | SUMMILUX 35/1.4
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