アメリカ インディアン

昔北米には1000を超えるアメリカ インディアン(ネイティブアメリカン)の部族があった。 汽車の中からバッファローを遊びで撃ち殺す白人は、生きるために必要なだけバッファローを狩るインディアンを野蛮人と呼んだ。 森を伐採し建物をつくる白人は、テントで暮らすインディアンを野蛮人と呼んだ。 利を得るために川や湖の魚を根こそぎ掬う白人は、暮らしのためにだけ魚を捕るインディアンを野蛮人と呼んだ。 19世紀中頃アメリカ政府は戦い疲れたインディアンから、居留地を与えるという条件で強引に彼らの土地を買い取った。
ここシアトルの名前の由来は実はSuquamish(スクォミッシュ)族の酋長シアトルからで、インディアンが多く住む土地だった。 1854年、当時のピアース大統領から土地買収の要請の手紙に対し、シアトル酋長の返事として今でも全米で語り継がれる名文がある。 地球環境問題を語るとき、テキストにしたいような自然や人生の哲学でもある。 長文だが下に転写した。

昨日、アメリカン インディアンの文化交流の場があり行ってきた。 ということで今の気分は少しインディアン寄り。 その時から自分のDNAのルーツはアメリカン インディアンにあると信じるようになった。 その前はモンゴル帝国の初代皇帝チンギス カンだと思っていた。 徳川家康でないことは分かっている。
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- 大統領は、私たちの土地を買いたいとの手紙を送ってきた。 だが、空がどのように売り買いできるのだろうか? 土地を買う? この考えは私たちにはとても奇妙だ。 この空気の清々しさや水のほとばしりを私たちが所有しているわけではないのに、どうしてそうしたものを売り買いできるのだろうか?

この大地のどの部分も、私たちにとって神聖なものである。 輝く松葉一本一本が、砂浜の一粒の砂が、深い森の霧が、草原が、羽音をたてている虫たちが.....。 すべてが私の種族の体験と記憶の中で神聖なのである。
私たちは、血管に流れている血液を知っているように、木に樹液が流れていることを知っている。 私たちは大地の一部で、大地は私たちの一部なのだ。 香る花たちは私たちの姉妹であり、熊や鹿や大鷲たちは兄弟だ。 ロッキーの谷、牧草地のミルク、ポニーの体温、そして人間、みな同じ家族である。

海や川を流れる輝く水はただの水ではなく、私たちの先祖の血である。 もし、私たちがあなた方に土地を売るとしたら、それが神聖なものであることをあなた方は忘れてはならない。 湖の澄みきった水の反射一つ一つが、あなた方に私たちの生活の記憶や出来事を語る。 水のつぶやきは、私たちの曽祖父の声なのだ。
川は私たちの兄弟である。 私たちの渇きを癒してくれるのだ。 カヌーを運び、子供たちを育ててくれる。 だから、あなた方は兄弟に対する親切さを川に与えなくてはならない。

もし私たちが土地を売ったら、空気が私たちにとってどれだけ貴重であるかを忘れてはならない。 空気はすべての生命を支え、すべての生命とその精神を分け合っている。 風は私たちの祖先に最初の息を与え、そして最後の息をひきとった。 風はまた、私たちの子供たちに生命の息吹を与えているのだ。 だから、もし私たちが私たちの土地を売ったら、あなたがたはその土地を、いつでもそこへ行けば牧草地の花の甘い香りを運ぶ風が味わえる場所として、別にして神聖にとっておかなければならない。

あなた方は、あなた方の子供たちに、私たちが子供たちに教えてきたように教えますか? 大地は私たちの母である大地に生じるものすべてが、大地の息子たちであると。
 
私たちは知っている。大地が人間に属するのではなく、人が大地に属するのだということを。 すべてのことは、血液のように私たちを一つにしているのだ。 人は生命の布を織らなかった。 人はただ、その中の一本の糸にすぎない。

私たちは知っている。 私たちの神は、あなた方の神でもあることを。 大地は人にとって尊いものであり、大地を傷つけることは創造主への大いなる侮辱である。

あなた方の運命は私たちにとって謎である。 バッファローがすべて虐殺されたらどうなるのか? 野生馬が家畜化されたら? 森の中の神聖な場がたくさんの人間の臭いで充満したら、昔からの山々の景色が電話の線で汚されたら、いったいどうなるのか?

木の茂みはどこにあるのか? 今はなくなった! 鷲はどこにいるのか? もう見えない! 元気なポニーとの狩りに別れを告げるものは何か? 生存の終わりと残存の始まりである。

最後のインディアンが原野と記憶とともに消えたとき、草原を横切っていくのは雲の影だけ。 そんな砂浜や森がそのときまだここにあるだろうか? 私たちの精神はまだ残されているだろうか?

私たちはこの大地を、生まれたての赤ん坊が母親の心臓の鼓動を愛するように愛している。 だから、もし私たちが私たちの土地を売ったら、私たちが愛したように愛してください。 私たちが気にかけたように、気にかけてください。 あなたが受け取った、そのときのままの土地の記憶をずっととどめていてください。 子供たちのためにその土地を保存し、愛してください。 神が私たちすべてを愛するように。

私たちは土地の部分であり、あなた方も土地の部分である。 この土地は私たちにとって尊い。あなた方にとっても尊いものだ。 私たちが知っていることは一つ、神は一人しかいないということだ。 インディアンであろうと白人であろうと、人間は引き離すことはできない、私たちは結局は兄弟なのである。 -

(つい最近、シアトルは環境保護団体から全米一のクリーンでグリーンな都市との称号を与えられた。 自然破壊も続いているが、せめてこのことをシアトル酋長に伝えたい。)
by scottts | 2009-07-21 00:33 | DP2 | Comments(34)
Commented by chomechomen at 2009-07-21 02:33
このエントリーでものすごく感動をいただきました。
いにしへに学ぶことの多さに圧倒しています。
気付きに恵まれた気持です。
ありがとうございました。
Commented by top-to-toe at 2009-07-21 02:58
NY帰国前日に自然史博物館でアメリカインディアンの歴史を見てきたばかりだった。

どこの国でも原住民は生活や物や文化をよそ者にことごとく略奪されてますね。
好戦的な部族もいるけれど、原住民として、
アメリカインディアンはどちらかというと穏やかな人々だっただろうに。
辛かったろうなと思いました。(アイヌ等多くの原住民もそうだろうね。)

以前肥満に関する研究に携わってた事があるのだけど
一部のアメリカインディアンの部族の糖尿病発症率が異常な高さ。
原因はもちろん遺伝的な要因もあるけれど、それよりも彼らの生活を奪い、
保護という名の制限させた居住地と元々なかった食文化への従属(配給制度があったから。)によって
それを発症させた可能性が高いのだそう。

森を侵し川を侵し野原を侵し、聖地を侵しただけでなく、
昔から培ってきた知恵や生活・文化まで抹消しようとする。
そんな相手に憎しみを全く持たないわけがない。
それでもその相手に対して憎しみよりもどう生きるべきかを説ける、
そういう心を持てる文化を持つ人々はそれだけで尊敬に値すると思えます。
Commented by NK at 2009-07-21 04:57 x
写真趣味を超えたところでの scottts さんに、強い敬意を表したいと思います。
Commented by scottts at 2009-07-21 06:11
chomechomenさん、そうですか、それは良かったです。
未開の地でもこれだけ純粋でしっかりした論理があったのですね。
有り難うございます。
Commented by scottts at 2009-07-21 06:21
アメリカンインディアンはとに角魅力的です。 昔カスター将軍が全滅した記念日にその地へ行った時、
当時のままの扮装でナバホ、シャイアン、スー族などの子孫も集まっていましたが、
その体格の良さ、そして誇りたかき尊厳のある風貌に感動したことを覚えています。
シアトル酋長は既に未来を読んでいたようですね。
Saoriさんのコメント、よく知っていらっしゃいますね。 なるほどとうなずけます。
Commented by scottts at 2009-07-21 06:22
NKさん、有り難うございます。 
シアトル酋長のアメリカ大統領への返事を読んでいると、何だか恥ずかしくなってきます。
Commented by ichi-some at 2009-07-21 09:21
彼らの往時の暮らしをそっくり真似はできないとは思いますが、精神は大切にしたいですね。
今日、衆議院が解散するらしいですが利権でドロドロの政治屋と偉い役人の方達に聞かせたい話です。
人造物でなんですが、東京タワーから下界を眺めた時に、人間のちっぽけなことを思い出しました。
Commented by scottts at 2009-07-21 12:51
ichi-someさん、テレビもない頃をすこし覚えていますが、家族の会話がもっと多くて
楽しかった記憶があります。 「進歩」もいいのですが、う~ん、考えてしまいます。
Commented by tamo at 2009-07-21 17:01 x
とても興味深く読ませて頂きました。
目下日本では明日に迫った皆既日食に沸いています。(お天気が心配ではありますが)インディアン達がいろいろな思いで、見ていた話などを聞き及び自然との共存を深く願わずに入られません。
Commented by casta6c at 2009-07-21 20:22
こんばんは。
すごく考えさせられる内容でした。
やっぱり人間は傲慢になってはいけませんね。
そうでなければ良い写真も撮れませんね。
あ、これは関係ないか。^^;
Commented by nontan91 at 2009-07-21 21:10
草木の一本、小石のひとつにも神が宿るとした民族との違いなのでしょうか。
この手紙を読んで大統領は恥ずかしくならなかったのでしょうか?
いや、まず土地を合法的に手に入れることで頭が一杯だったのでしょうね。
それにしても、DP2、まるで銀塩で撮ったかのようです。
すばらしい写りですね。
Commented by chousan-drybox at 2009-07-21 21:11
シアトル酋長の手紙を読んで、日本の先住民アイヌの娘・知里幸恵の編
んだ「アイヌ神謡集」を思い出し、青空文庫で序を読んでみました。
同じように迫害され、同様に最近先住民として認められた共通性を感じま
す。
scotttsさんの写真のバックボーンにこの様なやさしさ・美しさ・そして力
強さがある事を知り、大変嬉しくなりました。
そしてこの様な手紙をアップしていただいたこと、尊敬の念を禁じえませ
ん。
Commented by tullyz2 at 2009-07-21 21:17
1枚目の凛々しい描写、いいですね。
2枚目もいいなぁ。
素朴だけどストレートな発想が新鮮です。
Commented by pretty-bacchus at 2009-07-22 00:05
scottsさんの写真の根源にある大きな魅力は、きっとこのステートメントにあったのですね。
Commented by yoshipass at 2009-07-22 00:20
scotttsさん こんばんは
「シアトル酋長のアメリカ政府に対する返事 」掲載有難うございます。
読ませていただいたことに感謝したします。
Commented by Jun at 2009-07-22 00:29 x
シアトルに住んでいた時には何も知らなくて、
とても無知だったと反省です。インディアンの
居留地にはギャンブル場を作れば良いという
アメリカ人の傲慢さと、そこへ行ってしまった
自分をこの手紙は悔い改めさせてくれます・・・・
Commented by scottts at 2009-07-22 05:21
tamoさん、昔のアメリカインディアンも皆既日食を見たかもしれませんね。
天体の知識がなかった時代では相当の恐怖だったと想像します。
彼が言ったようにわれわれが自然に属しているのですから、
自然に対する身勝手なふるまいはいけませんね。
Commented by scottts at 2009-07-22 05:21
casta6cさん、こんにちは。 時にはこのように自然と人間との関係を思って、
自然にどう接するべきかを考えるのも必要ですね。 写真も自然体でいきましょう^^。
Commented by scottts at 2009-07-22 05:31
のんたんさんはとても自然に愛情を注いでいる人ですから、このような言葉は
よく分かるのでしょうね。 これを読んだ大統領は「あ、痛」と思ったでしょうね。
おっしゃるように世界から批判をうけないように取りあえず居留地を与えたのでしょうね。
1枚目はことわって撮りましたが、2枚目は勝手に撮ったので睨まれるのを覚悟してました。
というより睨んだ表情を撮りたかったのですが、穏和な人たちです。
Commented by scottts at 2009-07-22 05:37
chousan-dryboxさん、アイヌも同じような歴史があるんですね。
今は世界の世論がありますからひどいことは出来ませんが、昔は先住民が犠牲になりましたね。
有り難うございます。 そう言っていただけると..
Commented by scottts at 2009-07-22 05:44
tullyzさん、いい顔してますよねえ。 姿に誇りを感じますね。
こちらではNative Americanと呼びますが、Indian或いはAmerican Indianと
呼んで欲しい人が多いそうです。 
Commented by scottts at 2009-07-22 05:51
pretty-bacchusさん、こういう考え方や哲学に憧れます。
自然はわれわれに属しているのではなく、われわれが自然に属しているという言葉は、
多く気付かされるものがありますね。 これからもその気持ちを胸に止めて自然の風景を撮りたいです。
Commented by scottts at 2009-07-22 05:56
Yoshiさん、いい言葉ですよね。 忘れてしまいそうな自分の存在の位置づけを
よく知らせてくれています。 自然に、大地に軒先を借りているようなものなのですね。
Commented by scottts at 2009-07-22 05:58
Junさん、時代はすべてを変化させてしまいますね。
少なくともこの心を忘れなければいいですよ。 今生きていくためには
取りあえず環境に準じざるを得ません。
Commented by Hologon158 at 2009-07-22 20:45
初めてコメントさせていただきます。
もう幾か月も毎日のようにお邪魔してきました。
でも、あまりの人気ブログのうえに、お写真があまりにも素晴らしくて、
とても縁遠い高嶺の花と思えて、静かにお写真を楽しませていただくのにとどめてきました。
でも、シアトル酋長のこの手紙に心の底から揺さぶられてしまいました。
さっそく英文も見つけて、日本語、英語両方でこれから熟読玩味させていただくことにします。
もしかすると、訳文はscotttsさんの労作ではないかと考え、一言ご挨拶させていただきます。
後付で申し訳ありませんが、コピーをお許しください。
なお、私のブログは、scotttsさんのスケールの大きな写真群とは似ても似つかぬ、こじんまりとした路傍写真集、
リンクを設定せず、コメント欄もつけず、ひっそり一人楽しんでおりますので、
お忙しいのに、お出で頂くのは時間の無駄になります。
ギブ&テイクができないのはまことに申し訳ありませんが、
これからも素晴らしい写真を楽しませてください。
シアトル酋長の思想、ますます地球文化にとって大切になってきました。
でも、この言葉に耳を傾ける政治家、世界中探してもいないでしょうね。
Commented by dysphagia at 2009-07-22 22:04
これは感動しました。
blogの文章でこういうのはなかなか・・・
やはり、そういう歴史があることにも関連して意志の強い表情をしているのでしょうね。
Commented by andoodesign at 2009-07-22 23:20
こんばんは。
崇高な理念、僕も感動しました!
すばらしい文章をありがとうございます!
Commented by yuki at 2009-07-22 23:34 x
scottts さん、こんばんは。
 シアトル酋長の返事 よませていただきました。
 まったく現代に当てはまる内容で、感服いたしました。
 scottts さんの違った一面を思い知らされました。
 ありがとうございました。
Commented by scottts at 2009-07-23 01:06
Hologon158さん、おはようございます。
コメント、ありがとうございます。 私もNKさんや他の方々のブログから時々そちらへ訪問して
まとめて読まさせていただいていました。 Hologon158さんの写真や文章は別格でとてもいろいろなことを
学ばさせていただいております。 特にロボグラフィー思想には尊敬の念をもっております。
今回の訳文はウエブからの転写で少しこちらで意訳をしました。 私もアメリカに移り住む身で立場としては
「白人」側なのですが、シアトル酋長の言葉は自分の生活感にも影響を与えるようなインパクトがありました。
この手紙の言葉で同じような思いを受けられたようで、とてもうれしいです。
Hologon158さんの写真と文章は一冊の本にされたらいいと思います。 これは真剣に考えられたらいかがですか、
それとも既に何か出版されているかもしれませんね。

Commented by scottts at 2009-07-23 01:09
dysphagiaさん、この手紙の内容は本当に心に訴えてきますよね。
血筋を守っているアメリカインディアンの姿は彫像のようで尊厳と誇りに
あふれた風貌には圧倒されます。
Commented by scottts at 2009-07-23 01:11
andoodesignさん、おはようございます。 こちらこそ読んでいただきまして有り難うございます。
噛みしめても噛みしめても味が出てくるこの言葉は、魂から発せられているからでしょうね。
Commented by scottts at 2009-07-23 01:14
Yukiさん、おはようございます。 将来起こりうるだろう事を憂慮しているような言葉は
残念ながら現実になっていますね。 われわれが反省しなくてはならないことを的確に指摘しています。 有り難うございます。
Commented by littlewarriors at 2009-08-04 15:38
scotttsさん こんにちは!
アメリカインディアンを検索してたら  scotttsさんの
このblogに たどり着きました
"シアトル酋長の 返事" 心にしみました
少し もやっとしたものが 吹っ切れた気がしました

実は 今 司馬遼太郎の”関ヶ原”を あらためて 読んでいまして
そして 僭越ながらscotttsさんと 同じ事考えていました
 私も 徳川家康ではない
ルーツは チンギスハンだ
アメリカインディアンだと!

心が つながった気がして とても うれしくなって
思わず コメントしてしまいました....スイマセン

これからも blog 楽しみに読ませていただきます
行き着いた事に 感謝です!!!
Commented by scottts at 2009-08-09 04:00
littlewarriorsさん、おはようございます。 コメントをいたただいていましたのに見逃していまして
返信が遅れました。 すみません。 
littlewarriorsさんとは何かよく似たかんじですね^^。 シアトル酋長の望むような世界に住みたいですね。
現実は無理としても、心はそのように生きていきたいと思います。
有り難うございます。 こちらこそよろしくお願い致します。
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