衝撃の味覚

京都への道中は上天気で、春を思わせるようなのどかな日差しが流れるフィールドが続いていた。農道を走る軽トラックや、鉄橋を渡る時にめくり絵のようにぱたぱたと見える広い川、周辺に建つ工場の煙突から上がる煙をぼんやり眺めていると、ふと若い頃に新幹線で行き来して見た景色の思い出と重なって、その時に戻ったような錯覚すら覚えた。残念ながら富士山は雲がかかって見えなかったが、退屈せずあっという間に京都に着いた。直前のトンネルを抜けたとき雪が降っていたのはうれしいサプライズだった。一仕事終え気が抜けたのか帰りは軽い揺れに身を任せて居眠りを楽しんだ。午後9時前だったが30年来ビジネスで世話になっている瀧さんが品川駅で待っていて、薬膳料理の場所を準備してくれていた。孫さんという方を日本では有名な中国料理人と紹介されたが、彼の料理は今まで味わったことがない美味しさだった。何品だったろう、懐石料理のように次々と出てくるのだがそれぞれの味付けが重なることなく、それを盛る器もすばらしいものだった。味を主張し過ぎずしかし全く異なる個性があり最後まで飽きさせない、旨味にこのような奥の深い上品さがある料理は初めての体験だった。五味五色五法の完成した料理をこの年にして遂に味わえたかと、この喜びは言葉に表せないくらいだ。
by Scottts | 2012-01-26 08:28 | Japan
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