2012年 10月 04日 ( 1 )

ロートレックの似合う女

女は「家出をしてきた良家の若奥さん」風に見え、自分は誰でどこに住んでいたのかも記憶にないという。 お香の匂いを漂わせる風体や物腰から、彼女はきっと「平安京」からこの世界にタイムスリップしてきたのだという結論に達した。 あの夜、新橋で始まった不思議な女との出会いはロートレックと共に銀座の闇に消えていく...そんな謎めいたストーリーを続けたいと思わせてしまう彼女とは、実は思いがけない縁でシアトルで知り合った。 木村規予香(きよこ)さんは、十代でドイツへバレエ留学し、日本へ帰国する数年前までメンデルスゾーンが住んでいた部屋で生活をしながら、ライプチッヒバレエ団のプリンシパルを務めていたという大物バレリーナで、映画「ブラックスワン」にあるようなトップをとるための熾烈な戦いを強いられたとは思えないほど無邪気で優しく、気遣いもある人だが、余程の実力と精神力をもっているのだろうと想像に難くない。 パリの写真家Brassaiの濡れた石畳の質感や人々の機微を描く光と影が好きだという。 場末の紅灯も、研ぎ澄まされたアートの世界にも、気負いのない自然体で接っすることができる彼女はやはり謎の女だ。
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[M9-P] SUMMILUX 35mm f1.4
by Scottts | 2012-10-04 00:00 | Japan | Comments(34)